HPVワクチンを打ちましょう!!キャッチアップ接種の期限はあとわずか!!

子宮頸がんの原因である、HPV(ヒトパピローマウイルス)。そのウイルスに対し免疫を身につけるためのワクチンが、HPVワクチンです。

HPVは、性行為を経験すると8割のひとが暴露するウイルスです。つまり、特別でなくありふれたウイルスであり、男女ともかかわるウイルスです( 注1)。200種類ほどの型があり、そのうち15ほどの型に発がん性がある、つまりハイリスクなのです。このハイリスクHPVが子宮頚部に感染しつづけてしまうと、数年から十数年で発がんしてくる可能性があるのです。そして、困ったことにHPVを殺す薬というものは無いのです。

(注1)オーストラリアなど20カ国以上で男の子にもHPVワクチンは公費接種されています。日本ではガーダシルというHPVワクチンは9歳以上の男性に適応がとおっており接種可能です。公費負担かどうかは自治体によります。

しかしワクチンをうってHPVへの免疫をつけ、そもそもHPVの持続感染をさせないようにすることは可能なのです。

性交を始める前、つまりHPVに暴露する前にワクチンをうって免疫をつけることができるのがベスト。しかし性交経験のあとでも、まだ感染持続となる前であれば間に合うので、ワクチンをうつ意義はあるのです。

ワクチンは3回うつ必要があり(注2)、コストはシルガード9の場合、1回につき3万円近くかかります。小学校6年生から高校1年生相当までの定期接種であれば費用は公費負担(つまり無料)です。

(注2)  一回目の接種年齢が15歳未満であれば二回接種で終了です

そして、今年度はキャッチアップ接種という特別な制度の最終年度です。1997年度から2007年度にうまれた人であればやはり無料で接種することができます。

キャッチアップ接種ができるのは、今年度末、2025年3月まで、です。それまでに3回接種を済ませるためには遅くとも、9月までには一回目の接種をすませる必要があります。スムースに3回接種するのに半年かかります。途中で都合が悪くなったりして接種予定が延び、半年以上かかることも少なくありません。キャッチアップ対象年齢の人は、すぐにでも一回目を接種することを強くお勧めします!!

平和のつどい2024

もう、2週間ちかく前になりましたが、春日井市 東部市民センターで開催された平和のつどいに参加してきました。会場の多くは、戦後に育った世代、また私のように戦時中に人生を送った親を持ち、戦争のことを小さいころから聞いてきた世代でしたが、ジュニアの方や若い方もいらっしゃっていました。

もとイスラエル軍兵士の、ダニー・ネフセタイさんの講演はわかりやすく、胸を打つものでした。講演を聞いた人が、家に帰って子どもたちや孫たちに伝えたいという意見をうけて出した本が、ことし3月に発行された「どうして戦争しちゃいけないの?」だそうです。

下表は講演中、ダニーさんのスライドをみて書き留めたものです。戦争がいかに悲惨なことかを示します。イスラエルの新聞記事にあった数字で、2023年10月ハマスの奇襲後これだけ精神疾患が増えたということです。信じられない高さです。(見間違い?いや、たしかにスライドをみながらメモしました!)もともとの罹患率が高いのは長年にわたり国同士が暴力の応酬をしているためでしょう。

奇襲以前%奇襲以後%
PTSD1630
うつ2443
不安症3144
自殺願望38
ダニーさんいわく、もともと国民の16%がPTSDだなんていう国は、ないよね?!と。

会にさきだち私は挨拶を3分くらい述べました。私は婦人科の医師として外来診療と、性教育にもかかわっています。性教育というと科学的な正しい知識が必要ですが、大事にしているのが性的同意です。一方的な性、支配的な性は言語道断です。互いを尊重しあうことが絶対必要、つまり性教育は人権教育です。そして、いやな性的接触にはNo!を言おうと教えます。「嫌、やめて!」と声をあげること。それにも訓練が必要です。

あたりまえにNoを言って良いと言われて育たないと言えない人になってしまう。これは性的な場面だけでなく、人生のあらゆる局面における決定力、権利の実行力です。わたし自身はそういう訓練のないまま、いい年になってしまいました。それでいま、特に女の子たちに、嫌なものは嫌と言っていいんだよ、と言っているんです。

はっきりNo!と言い慣れていない人は、私だけでなく、日本人には多いのではないでしょうか。ところが最近いやと言えないムードにどんどん拍車がかかっているようです。2013年に強行採決された秘密保護法や2017年成立の共謀罪法(注1)、今まさに問題となっている地方自治法の改正案(注2)。まるでNoを言う権利など忘れてしまえと言わんばかり。とんでもない。戦争はNo。平和外交をもっと行うべきです。

注1,2の参考リンクはどちらも日本弁護士連合会のサイトです

2024年5月26日 平和のつどいへ、どうぞお越しください!

つぎの週末、日曜日に、春日井市東部市民センターで「平和のつどい 2024」を開催いたします。

私 小栗明子は春日井9条の会、世話人のひとりです。つまり、このつどいを主催する団体の一員です。そして、開会のあいさつを述べさせていただきます。それにあたり、ダニーさんの近著2冊を読みました。

とてもわかりやすいのです。時にユーモアも含む読みやすい文。日本語です!

自分の意志で人生を生きる女性

今月、伊藤野枝の小説「風よあらしよ」の映画版をみてきた。出かけたのは上映のラスト日だったので、ぎりぎりセーフ。吉高由里子さんが野枝を演じている。

小説は、図書館で借りてきた。厚いのできちんと読めずに返却時期が来てしまったけれど、以前に伊藤野枝の別の本をじっくり読んだことがあり、拾い読みでもなんとか場面を想像することができた。そして映画をみた。映画では、長い小説のすべての要素を汲むことはできないし、ラストの残酷な場面は脚色してある。頭の中で場面をつくる小説と違うのでそれはしかたがない。ラストに強烈な場面がくると話全体にひびいてしまうかもしれない。大事なのは、相手が大臣だろうがおそろしい憲兵だろうが、びびるどころかスラスラと言葉が出てくる野枝の強さだ。

村山由佳さんによる伊藤野枝の小説「風よあらしよ」

膨大な資料を求め、それを読み、想像力を膨らませて書くのが小説家の仕事。凄すぎます。

伊藤野枝は福岡県の海近くの村出身。東京の女学校で学ぶことができた。ひとの自由、平等はあたりまえのことと固い信念を持つ女性。女学校で学ぶより前に、子どものころから培われてきた資質のようだ。明治・大正の時代に、たいした人である。

吉高由里子さんは今年の大河ドラマ「光る君へ」でも、自分の意志を大事に生きる女性を演じている。

こうした本を読み映画をみて、ああ充分生ききった、と言って死んでいけるためにはどうしたらいいのかを考える。

話は飛ぶけれど、今年は久しぶりに大河ドラマを初回からみている。今回(第八回 2/25)は親による子どもの差別、暴力虐待という、今につながる問題場面が登場した。この先どうなるのだろう。脚本は大石静さん、音楽は冬野ユミさん。女性が大活躍です。