月経はデトックスではなく消耗

月経が多すぎることを「過多月経」といいます。なにが多すぎにあたるのかといいますと、レバーのような固まりが出る、日数が一週間以上ある、といった目安があります。また健康診断で貧血(ぎみ)だと判定されたとすると多くの場合、過多月経が背景にあります。

過多月経になるということは、子宮筋腫や内膜症があるかもしれません。

貧血になるには何か原因があるはずです。なにも問題ないなら貧血には、なりません。貧血になる原因には消化管出血(潰瘍、がん、など)や低栄養(偏食)などもありますが、月経のある年齢で最も多い貧血の原因は、やっぱり月経が多すぎることだと考えます。

残念なのは、それを放置していることです。まず血液検査のチャンスがないと貧血だと知ることもできませんけれど、せっかく健康診断をうけて貧血を指摘されているのに放置している人が多いようです。貧血であっても困ることなく生活できてしまうためでしょう。ながく貧血でいると慣れてしまうのと、現代は車はあるしエレベータはあるしで楽チンですものね。

「ずーっとそう(貧血)でしたから」「鉄サプリのんでますから」では、放置していてよいことにはなりません。

...放置していてはダメなこと、こちらの記事もご参考に「過多月経」

そして先日のことですが、患者さんいわく「月経はデトックスだと思っていた」と。つまり月経は要らないもの、出た方が良いものがでるのだと思っていた様子。これは大いなる誤解です。

月経は子宮内膜がはがれて排出される現象ですが、内膜は、やってくるかどうかわからない受精卵というお客さんのために毎回あたらしく用意している「栄養たっぷりのおふとん」なのです。お客さんが来ないと、もったいないことに、それが毎回はがれておちて次また新しいものを用意するのです。つまり栄養やエネルギーを「消耗」することなのです。

やせすぎなど、低エネルギー状態だと排卵できません。なにしろ排卵したら、やってくるのは月経もしくは妊娠という、どちらにせよ体にとってはえらく消耗することだからです。からだのエネルギーが足りないのに、月経をおこしている余裕はありません。だから脳が排卵命令を控えるのです。

月経不順、無月経で受診なさる患者さんには低体重のひとが多いです。その場合まず第一に体重を増やす必要があります。身長にみあった体重なくして排卵は無理です。体重が薬といえます。