女性の外陰コンディション 年齢による変化

今日の外来で、患者さんから受けた質問。「先生は、患者さんみんなに40歳を過ぎたらGパンはやめるよう言っているということでしたが、なぜですか?」…Beautiful question!! よくぞたずねてくださいました。お答えは以下のごとくです。

40歳を過ぎる頃からじりじり、女性ホルモン=エストロゲンは右下がりとなります。クルマで言うと10万キロ、20万キロ走ってがたつきはじめたと、そういう感じ。リズムの良い排卵周期を維持できなくなります。月経周期が短くなったり、不順になるのはそのためです。エストロゲン分泌が落ちると外陰の皮膚・粘膜そして膣内環境は変化し始めます。

卵巣が元気な頃は、つまりエストロゲンがしっかり出ている時は エストロゲンの作用で外陰や膣の上皮細胞が健やかです。エストロゲンが落ちてくると、膣上皮細胞の数が減り、膣粘膜は薄くなります。それで膣の乾燥感・性交痛・出血・尿道の痛みなどが出るようになります。Gpanをはいて外陰を締め付けるのはよろしくない。デニムの厚い生地で蒸れたり擦れたり、炎症を起こしてしまいがちなのです。

膣の粘膜細胞の中ではエストロゲン低下によりグリコーゲンの蓄えが落ちてきます。すると、それを栄養にしていた善玉菌(乳酸菌です)が減ってしまいます。乳酸菌が元気だと膣内は弱酸性となり病原菌の増加を防いでくれるのですが、乳酸菌が減ることにより、皮膚や直腸に常在するバイキン(大腸菌やブドウ球菌)が増殖しやすくなってしまいます。Gパンやガードルのように蒸れる衣服を着ていることは、これを悪化させます。おりものがおかしくなってしまう(増える、におう)のです。

女性誌の表紙を見てみますと、50歳代かそれ以上をターゲットにしたものですと、モデルさんの着ている衣服がゆったりしていますよね。ピタッとしたスキニーやジーンズではない。

10年くらい前は「ユニ◯ロ」や「あか〇れん」の女性服売り場ではパンツばかり売っていて、なんだかな〜と思っていたのですが この頃はスカート、それも長い丈のものが多く売られており私は嬉しいです。