”逃げ恥婚”〜話合えるということ

新垣結衣さんと星野源さんの結婚発表。暗い話題がニュースを占めるなか、明るく暖かい話題です。考えたことを書きました…

今年1月にみた「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!」はまさに“役に立つ”ドラマだと思った。録画しておいて良かった。結婚発表を知ってまた、最初のほうだけ、みてみた。うんうん、やっぱり、いい。

これは若い人たち、特に今後結婚を考える人たちにぜひ観て欲しい。このドラマは教科書だと言ってもいい。

← 鍋のふたをあけて湯気で眼鏡がくもった場面のつもり。

ドラマは滑らかな出だしである。二人が互いをパートナーとして暮らしはじめ、生活を回すことをふたりできちんとできるようになっている。嫌なこと苦手なことを分け合い、互いに感謝しあう。このようにまず二人が蜜月して生活が整っていることがだいじ。

そしてみくりが妊娠した。妊娠したと聞いたその場で様相を崩さないヒラマサさんはシリアスなことで頭が一杯だったのだ。子どもができたら結婚しようと思ってきた。届けを出すには姓のことを決めないと、等々。姓を変えたほうが色々面倒くさいことを元々わかっていたヒラマサさんはホントにただ者でない。

…妻から妊娠を告げられると、いきなり『妊娠したの!?わ〜〜』というリアクションをする夫のパターンがよくあるでしょう。ヒラマサさんはそうではなかった。いいね。

婚姻届を出すのにふたりの姓をどちらのものにするかということを、当然のように妻に相談をもちかけるヒラマサさん。職場ではモラルハラスメント、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントをまきちらす男性に毅然とした態度をとる。ここでの発言もすばらしく、これまで培われてきたヒラマサさんの人権感覚が光る。

みくりも、言いたいことがちゃんと言える力を持っている。たとえば妊娠がわかってから「支える」と言ったヒラマサさんに、妊娠出産、育児は自分だってはじめてのことなのに、自分ひとりで決めて指示を出していかなければならないのか?とちゃんと文句をいえる。妻には、夫に、あたりまえに言いたいことを言える力が絶対に必要なのだ。そしてモヤモヤやイライラが生じたとき言葉にして、相手に通じる表現、説明をできないといけない。それができるためには常日頃から練習ができていなければ、突然には無理なこと。つまりふたりの関係がずっと平等だから可能なことなのだ。ドラマでトイレットペーパーをめぐって起こる、ふたりの言い合いエピソードがある。このときも、ヒラマサ、みくり双方とも、かなり沸騰したところだったのだがきちんと言葉で相手に説明できている。みごとだ。頭がかーっとしているときに、こんなふうにちゃんと言えたらいいなあ。

しかし、二人の関係が良好で生活がきちんと出来上がったところでの妊娠でも、こんなにぎくしゃくするのである。

でき婚の離婚率が高い理由は、生活を回すということがどれだけ大変なことかまったくわかっていないからだ。まえもって共棲(ともずみ)もせず、いきなり乳児をむかえてやっていこうという無茶をするからだ。

新垣さん星野さんはこのお話のようにきちんと話合って結婚生活送っていくよね、きっと。

女性とカレンダー

女性にはカレンダーが大切です。サイクルを持つからだであるからです。月経がいつ来たかなどカレンダーを眺めていると、思い出しやすいです。

婦人科を受診するきっかけは、出血や腹痛であることが多いです。いつ、症状が起こったのか。カレンダーに書いて、月経サイクルと照らし合わせる。これが診断にとても有用です。

また定期的にピル、その他ホルモン剤を使う場合もカレンダーが大活躍します。カレンダーは、通院してもらうのにほぼ必須といえるツールなのです。なのに市販品でもネットでも、いい感じに使えるカレンダーがありません。それで表計算ソフトをつかって手作りしています!

手作りカレンダー。ことしは東京オリンピックのため祝日がよく変更されました…ネットで情報を確認して大丈夫かな?と思いつつ作っていました。

このカレンダーに、不正出血など起こった症状の記録をお願いしています。どのようなときに起こるのか。数ヶ月見わたすことができます。これが診断にとても役立ちます。

こないだ、2021年1月から12月まで1年分のものを作ったと思っていたら、もう、ぼちぼち7月から来年(2022年!)前半までのものが要る時期に…。こんなことをやっていると一年が、ほんとうに、あっというまです。

日展の彫刻作品を鑑賞

2月なかばまで日展の名古屋展(巡回展)でした。このごろ、ちょいちょい日展へ足を運びます。彫刻家、櫻井真理(さくらい まこと)氏の彫刻を観に行くためです。

櫻井氏は高校の同期生なのです。彼は美術科で私は普通科、在学中はカリキュラムが全く違い、過ごす場所も違うので部活など同じでなければ接点がほとんど、ありませんでした。それが近年、Facebookを活用した同窓会を開くことによって、ほかのクラスだった同期生ともすごく交流できるようになったのです。これはネットのありがたい、良い面です。

さて今回、櫻井氏は「日展会員賞」を受賞しました!!!

幸い、会場で会うことができました。像の前で記念撮影です。

作品名は「やすらぎ」。2020年の6月から9月にかけて制作したそうです。当時の様子を思い出してみると、コロナのための緊急事態宣言からいったん抜けて、なにかできそうかな、という時期でしたね。

石膏の像なのですがブロンズ色です。この着色すばらしい。

モデルは30代日本人女性だとのこと。モデルさん本人はほっそりしたかたなんですと。作り手のイメージで像を創っていくのです。

触れたくなる曲線。なんと、触れてもよいのでした!!…この写真は櫻井くんが撮影してくれました♡

今は大阪市立美術館で3月21日まで展示中。

像は、前から見るとふつうに若い日本人女性、背後からみると筋肉がくっきりとして、マドンナとかミロのビーナスをほうふつとさせます。臀部にある筋肉のさかいめにあるくぼみに気づきますか?「ビーナスのえくぼ」といいます。

いいものは、いつまでも見ていたくなります。

櫻井氏の彫刻は、名古屋市内だと中村日赤病院や北区役所にあるそうです。日展まちなかギャラリーにマップがありました。

また次の展覧会も、鑑賞しに行きます!!

UNIQL〇の変化

外陰がかゆい、あるいは痛いというトラブル。冬場になると増えます。原因の多くは接触性皮膚炎…衣服による接触性皮膚炎です。

パンツスタイルが大勢であるこのごろ。ぴたっとしたパンツや硬い生地のパンツをはいて、あるいはタイツやガードルとパンツを重ね履きして、蒸れてこすれて皮膚炎を起こすのです。原因をなくさないと治りません。擦れる衣服や重ねばきをやめることが治療です。

でも、寒いと「どうしても」重ねばきをなさるのだそうです。

私はおそらく20年くらい前から患者さんに以下のようにお話し続けています。擦れる蒸れるがいけないので、スカートをはきましょう、って。

最もまずいのがGパンです。そういう話をしょっちゅうしているので私は患者さんのあいだでGパンが嫌いな先生と評されているらしいんです。べつにGパンを嫌っているわけではないですが、中高齢女性には確実に不向きだと思います。

Gパンやスキニーなんていうのは若い人はいいんですが、40歳越えたらやめたほうがいいと、外来でお話し続けています。(そのわけもご説明していますよ)

タイトなパンツをはいて平気ならいいですけれど、皮膚トラブルを起こしてしまっているのに相変わらずはいていたら、皮膚がかわいそうです。

外陰の痛さかゆさがあるときに、自分で観てみましょう。まず目で見るんです。見づらければ鏡を使います。…自分で見ていないっていう患者さんがとっても多いんです。でもこれはおかしい。手や足が痒かったり痛かったりしたら、ふつう、見ますよね?それと同じです!じぶんのからだですから。

タイツとスカート、暖かいですよ。やってみればわかります。Gパンて、結構、お尻や腰は冷えるでしょう。タイツをはいてもスカートならしめつけないからOKなのです。空気の層ができるからあったかいですよ。

私はユニクロが大好きで、チラシをみるのも大好きです。10年前と今とでユニクロの品揃えには大きな変化があると思います。10年前は全然無かった、スカートをたくさん売るようになったことです。うれしいことです。

外来で、蒸れる衣服はだめ、きついパンツやガードルは単品でもやめてほしいのに重ねばきしたらもっとだめ、と説明できるよう資料としてチラシを使わせてもらっています。黒木メイサちゃんがユニクロの広告に出ていたころ!パンツばかりでスカートは載っていないです。

くらしと教育をつなぐ 隔月誌 “We”

横浜にあるNPOスペース・ナナが発行している「We」という隔月誌があります。コンパクトな本ですがものすごく読み応えがあり、生きる希望がわく本です。2カ月ごとにこのような充実した内容のものを、よく、出せるなあと思います。1992年4月創刊、かなり歴史がある冊子です。

私は2002年から性教育をはじめました。愛知県田原市の産婦人科医師、北山郁子先生は性教育のパイオニアで、私は幸いにも北山先生のてほどきをずいぶん、受けることができました。この「We」も、北山先生から教えてもらった本のひとつです。以来、購読しています。

2017年秋に、私は横浜のスペース・ナナをたずねてきました。四国五郎さんという数年前に亡くなられた画家の、絵の展覧会があったからです。私は四国さんの絵が大好きなのです。会場には、吉永小百合さんから送られたランの鉢が置いてありました。すごいなと思いました。

Weを、多くのひとに購読していただけるといいと思います。このNPOを応援できることになります。「We」を試し読みしてみたいというかたは、どうぞ、当院で(受付でも、小栗にでも)おっしゃってください。

春日井市図書館のサイトで「We」を検索してもヒットしません、つまり置いていないようです(あったらごめんなさい)が、愛知県女性総合センター「ウィルあいち」(名古屋市東区)の図書室に置いてあった記憶です。